2018年3月21日水曜日

足跡を追って

 ある冬のお昼過ぎ、かなは近くの山へ出掛けていきました。
かなは、今年で六年生です。
かなの住んでいる町にある動物山には、おかしな噂がありました。
その噂とは、山の中で迷ってしまったら、動物になってしまうという噂でした。
でも、かなはそんな噂を信じていません。
かなの友達はみんな、噂を信じています。
なので、遊びに誘っても来てくれません。
動物山には、ソリで滑るのにとても適している所があるのを、かなは知っていました。
なので今日も山に行くことにしました。
「こんなに面白い所があるのに、なんでみんな来ないんだろう。噂なんて、嘘に決まっているのに!」
そんな事を言っているうちに、かなは、山に着きました。
 「今日も誰もいない!思いっきり滑るぞー!」
と、かなが、一回目を滑り始めました。
すると、ちょっとした雪の山にぶつかって、下まで滑り落ちてしまいまいました。
かなは、怖くて暫くの間、目をつぶっていましたが、やがて目を開けました。
幸い怪我はなかったけれど、そこはかなの全く知らないところでした。
「え、、、。こんな所しらない!どうしよう!」
かなは、心配になってきて、ふと動物山の噂を思い出しました。
「うそ!?私、動物になっちゃうの!?」
かなは、とりあえず、高い所に登って、あたりを見回してみようと思いました。
かなが立つと、なんだか頭が重い気がします。
かなが自分の頭を触ってみると、、、、、なんと、かなの頭には、ウサギの耳が生えていたのです。
かなは泣きたくなりました。
でも、きっと山を抜け出す方法があるはず、とあたりを見回すと、何かの足跡がありました。
足跡は、どこまでも続いています。
かなは、その足跡を追ってみることにしました。
かながずっと足跡を追っていると、急に足跡がなくなってしまいました。
「何でだろう。」
と、かなは思いました。
すると、目の前に可愛らしいうさぎが一匹います。
「なんだ。うさぎの足跡だったのか。」
かなは言いました。
次の瞬間うさぎが、
「うん。そうだよ。」
と、言ってにっこり笑ったのです。
かなは、うさぎが喋るなんて聞いたことがありません。
自分がおかしくなったのかと思いました。
でも、うさぎはまた喋り始めました。
「僕は前、この山に迷ってしまって、ウサギになったんだ。他にも仲間がいるけど、もうみんな、山を抜け出す方法を考えるのを、諦めちゃった。」
とかなは、前は人だっと聞いて、少し安心できました。
「私も今、山に迷って、段々ウサギになってきたの。良かったら、一緒に山を抜け出す方法を考えない?」
ウサギは暫くの間考えていましたが、やがて、
「うん。いいよ。一緒に頑張ろう。」
と言ってくれました。
「私は佐々木かな。よろしく。」
かなは軽く自己紹介をしました。
するとウサギも自己紹介を始めました。
「僕は、多田健太。よろしく。」
一人と一匹は山を出る作戦を立てました。
早速実行します。
健太に仲間を呼んできてもらいました。
リスや、ウサギ、クマまでいます。
みんなで力を合わせて一気に山を登ります。
「いっせのーで!」
と、かなの合図で、みんなは一斉に山を登り始めました。
みんなで力を合わせてどんどん山を登っていきます。
かなが一番始めに登り終わりました。
リスが二番目、ウサギが三番目に着きました。
後はクマだけです。
子グマと入ってもかなり大きいのです。
かなは、クマだけ登れないんじゃないかと心配になりました。
みんなが大きな声で応援しています。
後少し、という所で、クマが足を滑らせてしまいました。
「あっ!!」
みんなが一斉に声を上げました。
その時です。
たまたま通りかかったシカが、クマを引っ張ってくれました。
「やったぁ!」
これでみんな登れ切れました。
ここはもう、かなの知っている所です。
でも、かな達はまだ動物のままだったのです。
「なんで!?」
かなはもう嫌になってしまいましたが、まだ山から出ていないことに気づきました。
みんなで山を出る道を歩いていきます。
やっと山を出ました。
すると目の前にあのシカが出てきました。
クマを助けてくれたシカです。
シカは、動物たちの前に立って、ふぅっと息を吐きました。
すると、みんながキラキラ光っています。
かなと動物たちは、みるみるうちに人に戻っていきました。
リスや、ウサギ、クマになってしまった子供達も、元通りです。
かなが空を見上げると、まだお昼すぎのようです。
「あれ?私が家を出たのは、お昼過ぎだったのに。」
と、かなは不思議に思いました。
すると、山を抜け出すために協力してくれた健太が言いました。
「動物山のもう一つの噂を知ってる?」
「え?知らない。」
かなは言いました。
「山から出る間に、シカに会った人は、時間が巻き戻されて元通りになるんだって。僕の場合、前に迷ったから、もちろんお母さんが心配してると思うよ。僕がいなかった間のことは、記憶が消されるから、全て元通りなんだ。」
かなは安心しました。
家を出てから、かなり時間が立っていたけど、元通りになるなら大丈夫だと思いました。
 あの日から、かなは何度か動物山に行きました。
もう迷うことなんてありません。
しかも、あの事があったから、今まで以上に友だちも増えました。
今日もかなは、動物山に出掛けます。
あの日、一緒に山を抜けたみんなと一緒に。

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